2018年2月8日木曜日

『嵯峨日記』松尾芭蕉

『嵯峨日記』


 芭蕉は元禄四年四月十八日から翌月五日まで十八日間、嵯峨の落柿舎に逗留した。『嵯峨日記』はその滞在記録である。芭蕉の滞在中は去来、凡兆夫妻をはじめ乙州、李由、曽良、曲水、嵐雪、昌房、尚白、千那、史邦、丈草など老俳人に少しの寂寞をもあたえぬほどの賑わしさである。
芭蕉48歳、蕉門の一大選集「猿蓑」が世に出、一番油の乗り切った時期であった。が同時に芭蕉はひたすら浮世の外に住まんことを願っていたともいわれる。

「人来れば無用の辯あり、出でては他の家業を妨ぐるも憂し、孫敬が戸を閉て、杜五郎が門を鎖さむには、人なきを友とし、貧を富めりとして五十年の頑夫、自書みづから禁戒となす」と言っている。


※インフルエンザに罹り随分遅れてしまった。何度もやり直していたことも原因だが。

2018年1月30日火曜日

次の本が出来るまで その86

寒中お見舞い申し上げます


去年父親が亡くなったので、年賀状は出さず年が明けてから寒中見舞いを作りました。
今さらという気もしますが場つなぎに掲載いたします。


※白露とは水のこと。

2018年1月26日金曜日

次の本が出来るまで その85

民家採集


 わたしはこの本の図版をただ懐かしくながめている。達者なスケッチと簡単な間取図から家の中を想像し、薄暗い土間の臭いやナメクジが這う台所の湿った空気を思い出している。作者の今和次郎は全国を歩き回り地方の民家の特徴と構造を研究した民俗学者である。東京美術学校出身の和次郎は、その才能を発揮し精緻なスケッチを数多く残した。それらを見ていると民家のどこかに洟を垂らした幼い自分がいるような気がしてくる。





※『民家採集』今和次郎集 第3巻 2005 ゴメス出版
 図書館で借りた。

2018年1月16日火曜日

次の本が出来るまで その84

活版印刷


ネット上では活版印刷の特徴として強印圧による紙の凹みをアピールしているところが多い。凹凸をいかしたすてきな印刷物もたくさんある。挑戦してみた。


テーマに選んだのはジョン・ウィリー John Willie 

アメリカ合衆国で活躍したフェティッシュカメラマンおよびボンデージアーティスト。1946年から1959年まで主宰した「Bizarre」はノー・ヌード、ノー・セックスを謳い文句に、美しい女性の拘束された写真やイラストを掲載した。



横にあるのは両面コピーで作ったダミー。冊子にしようかとも思ったがやめた。


はがきを100円ショップの額にいれてみた。古くさい感じは悪くないがいかにも安っぽい。

結論からいえば凸凹をつけるのは無理だった。



追記
囚われた女性を強調するため鳥かごのイメージで箱に入れてみた。

※結局自分には目を引くような刷り物をつくる環境も感覚もないことを確認した。

2018年1月9日火曜日

次の本が出来るまで その83

新年に

油断して風邪をひいてしまった。もう世の中は動き出しているというのに、私といえばティッシュを鼻の穴に詰め込んでなかなか治まらない空咳に悩まされ続けている。
しかし新年の最新記事が遺言状ではどうも味気ない。そこで、新聞に載っていた文章を転載したい。果たしてこれが新年にふさわしいかどうか、読んでいただく方の判断にお任せする。

ファシズムの初期症候14項目


1 強情なナショナリズム
2 人権の軽視
3 団結のための敵国づくり
4 軍事の優先
5 性差別の横行
6 マスメディアのコントロール
7 国家の治安に対する執着
8 宗教と政治の癒着
9 企業の保護
10 労働者の抑圧
11 学問と芸術の軽視
12 犯罪の厳罰化への執着
13 身びいきの横行と腐敗
14 不正な選挙

※当てはまる国があちこちに。

2017年12月26日火曜日

次の本が出来るまで その82

森鴎外の遺言書


鴎外は生前遺言書を三通作成している。
初めは明治三十七年二月二十二日、日露戦争に軍医として従軍する直前に作られた。
文面には妻志げに対する不信感が窺える。
二通目は一通目の追加という形で大正七年に作られた。ここでも志げには冷たい。
最後は大正十一年七月六日、親友賀古鶴所に口述筆記させたもので「余は石見人森林太郎として死せんと欲す」の一文が知られている。
三日後、七月九日午前七時、鴎外は六十一歳(満六十歳)で逝去した。

※字が小さくて読めないかも知れません。


※いろいろあったんでしょうね、森さんちも。

2017年12月19日火曜日

次の本が出来るまで その81


一休禅師


一休禅師が京都紫野にいたころ、書を求める者にはいつも「御用心」と書いていた。

他にもなにか書いて欲しいと求める者があれば「御用心御用心」といくつも書いていた。

また「御用心」以外になにか書いてくれという者には、只という字を添えて「只御用心」と書いて渡していたという。


※一休さんらしい逸話。

2017年12月14日木曜日

2017年12月8日金曜日

次の本が出来るまで その79

トップページ集(上)


年末ということでタイトルページをまとめてみました。

全部ではありません。順序もいいかげんです。不悪。


2017年12月5日火曜日

『桃花源記』陶淵明

陶淵明『桃花源記』


前回紹介した『冬の夜』と並行して作っていました。


 道に迷った武陵の漁夫が、桃林の奥で見たのは、秦の乱を避けた者の子孫が世の変遷も知らずに平和に暮らす社会でした。村に帰った漁夫がふたたびその村を訪ねようとしましたが、その入口はどこを探しても見つからなかったというお話です。

 この物語より、理想郷を称して「桃源郷」という言葉が生まれたと言われています。


表紙は三種類の端切れで作りました。



※原文は拓本のつもりです。青い表紙は題簽の色も青にするべきでした。

2017年11月27日月曜日

千家元麿『冬の夜』

千家元麿『冬の夜』


 『冬の夜』は、年老いて収入もなく、ぎりぎりの暮らしをしていた老夫婦が、凍てつく冬の夜に荷車を引いて夜逃げをするようすを描いた短編です。作者の千家元麿は武者小路実篤に師事し、生涯人道主義を貫いた白樺派の詩人で『自分は見た』(詩集)『青い枝』(小説戯曲集)などの作品があります。



※明日は我が身と思い知る