フローベールが言うには
医学[médecine]
健康なときは愚弄(ぐろう)すべし。
怒り[colère]
血行をよくする。したがって、ときどき怒りを覚えることは体によい。
いとこ[cousin]
妻の「遠縁のいとこ」だという男には警戒するよう、夫には忠告すべし。
顔[visage]
「魂を映しだす鏡」。だとすると、ずいぶん醜い魂のひとたちがいるものだ。
老人[vieillard]
洪水や雷雨などが発生すると、土地の老人連中は、こんなにひどいのは見たことがないと
かならず言う。
小間使い[femme de chambre]
みんな女主人を裏切る。
彼女たちの秘密を知っている。
しばしば彼女たちより美人である。
かならず一家の息子によって誘惑される。
キス(する)[baiser]
「接吻する」と言うほうがより上品。
やさしい盗み。
キスを「してもいい」のは、
若い女性の額、
母親の頬、
美人の手、
子供の首筋、
恋人の唇。
※出典:「紋切型辞典」(岩波文庫)