マヨネーズ Mайонез
作:アントン・チェーホフ
役人が賄賂を取った。背徳行為の行われたその瞬間、上役が入って来て、感謝の紙幣の握られた拳を疑わしげにじっと見つめた。
役人はひどく狼狽した。
「ちょっとあなた!」と彼は、拳を開きながら、陳情者に向って言った。
「あなたは私の拳のなかへ何かお忘れになりましたよ!」
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ペテルブルグの新聞記者N・Zは、産業博覧会を視察しながら、ふとある展覧場に注意をとめて、何か書きはじめた。
「この二十五ルーブリ札を落としたのはあなたじゃありませんか?」
その展覧場の主人が、彼に紙幣を渡しながらこう言った。
「私が落としたのは、二十五ルーブリ札二枚だったがね!」とっさに記者が言った。
出品人はその頓智ぶりに舌を巻いて、彼に二十五ルーブリ札をもう一枚渡した。
これは小説にあらず、正真正銘の事実である。
※タイトルの意味がわからない。