2024年8月19日月曜日

次の本ができるまで その310

『会話』 ネッド・ガイモン


「まさか!」
「そうなんだ」
「君がそんなことを!」
「したんだ」
「いつ?」
「たった今」
「どこで?」
「寝室」
「死んだのか?」
「そうだ」
「大変だ」
「そうさ」
「なぜだ?」
「知ってるはずだ」
「知るもんか!」
「知ってるさ」
「姦通か?」
「そうだ」
「相手は?」
「君だ」
「違う!」
「そうさ」
「彼女がそんなことを──」
「したんだ」
「ぼくたちはそんなことは──」
「したのさ」
「知ってたのか?」
「そうだ」
「いつから?」
「かなり前から」
「これからどうする?」
「当ててみろ」
「警察へ?」
「後で」
「なぜ後でだ?」
「また当ててみろ」
「言ってくれ!」
「見ろ」
「よしてくれ」
「やるまでだ」
「君にできるわけがない!」
「できるさ」
「お願いだ」
「泣き言を言うな」
「許してくれ」
「手遅れだ」
「何てこった!」
「あばよ」
「交換手」
「はい」
「警察へ」


※初期の電話は交換手を呼び出して電話番号を告げ、繋いでもらう方法だった。若い人の中には知らない人もいるのではと、蛇足ながら記しておきます。