2021年1月4日月曜日

次の本ができるまで その188

 新年の心持


年が明けました。
難題山積の年ですが、露伴の一文を参考に、慌てず落着いて過ごしたいと思います。

おもしろからぬ俗事に身を疲らし心をわづらはせたる後、夜ふけて燈火かすかなる一室に錆ざる刀抜き放して、手元より帽子先(ぼうしさき)まで切先より鍔際まで幾度か見送り見迎へ、頓て(やがて)突立あがり、ひと揮りふた揮り打揮って虚空を切る音を聞きたる心よさ。
※むしゃくしゃしたので夜中に刀を振り回した。すっきりした。


年老たる法師の安らかに経よむを静に聞居たる中、何事も自然(おのづ)と忘れ、唯〻香烟の肝に染(しみ)たるありがたさ。
※寺でお経を聞いた。線香の匂いに癒やされた。


風さはがぬ朝はやく起て袖寒きを冒し、静に歩めば落葉ひらひらとひるがへり、魂魄(たましひ)引締るやうなる初冬のさびしさ。
※早起きしてその辺をうろついた。寒かった。

※『露伴随筆』第1冊「愉快」より

年賀状