蜃気楼
団地の一角に公園がある。
公園の端には太い大きな木が立っている。
いつからか木の根っこに男物のサンダルが転がっていた。
近づいて上を眺めてみると、鬱蒼と茂った葉と葉の間から、
秋の陽射しを受けて、白く輝く足の裏がのぞいていた。
占い師
病院のベッドの上で年老いた占い師は、臨終を迎えるところだった。
途切れがちの息づかいのなか、老人は最後の力をふりしぼって話し始めた。
「ワシの占いはよく当たった。最後にもうひとつ、大切なことを教えておこう。信じられんかも知れんが、ワシが死ぬと同時にこの地球も消滅するということだ。何もかもが消えてなくなってしまうのだ。慌てても、もう遅い。ワシの占いがそう言っているのだから」
老人はしばらく前から目が見えなくなっていた。
そして、この話をしたとき、親族は廊下で葬式の相談をしていた。
みんなが病室にもどると、老人は口を開けたまま息をひきとっていた。
ベッドのまわりにいた誰かが言った。
「何か言いたかったような顔だね」
途切れがちの息づかいのなか、老人は最後の力をふりしぼって話し始めた。
「ワシの占いはよく当たった。最後にもうひとつ、大切なことを教えておこう。信じられんかも知れんが、ワシが死ぬと同時にこの地球も消滅するということだ。何もかもが消えてなくなってしまうのだ。慌てても、もう遅い。ワシの占いがそう言っているのだから」
老人はしばらく前から目が見えなくなっていた。
そして、この話をしたとき、親族は廊下で葬式の相談をしていた。
みんなが病室にもどると、老人は口を開けたまま息をひきとっていた。
ベッドのまわりにいた誰かが言った。
「何か言いたかったような顔だね」
※ほんのお目汚しです。