2020年6月30日火曜日

佐藤春夫『指輪』

『指輪』 佐藤春夫



 佐藤春夫の「指輪」という小品です。
 妻が欲しがっている指輪を浮気相手の女に買い与え、さらに社員旅行をすっぽかして二人で何処かへ出かける計画をしている男の話です。正直この話はいやな気分にさせられました。そこで「いやな気分のおすそ分け」のつもりで本にしました。男の不貞が今ほど咎められなかった時代の空気が感じられ、罪悪感のない主人公と作者が重なり、後味の悪い作品として記憶に残りました。


※一生懸命作ったわりには、ぱっとしない出来上りです。頭のなかでは岸田劉生の絵のような表紙を想像していたのですが……。