本屋さんにはない昔の作家の埋もれた作品や、気に入った言葉を集めたものを 手キン(アナログの印刷機)で印刷して小さな本を作っています。
佐藤春夫の『あじさい』は1800字ほどの掌編です。
重病を患った小さな女の子が眠る座敷で、女とその恋人らしき男がそれぞれの想いに耽っています。女は夫を思い出しながら、「あの人があんなふうにして不意に死んだのでなかったら、仮にまあ長い患のあとででもなくなったのであったら、きっと、あなたと私とのことを、たとえばいいとか決していけないとか、何かしらともかくもはっきりと言い置いたろう……」と話はじめます。
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