2021年5月5日水曜日

次の本ができるまで その201

墓地はいいな

五月三日、天気は快晴、近所の金戒光明寺の墓地へ行きました。人もほとんどいません。気の向くまま、墓石に刻まれた名前や没年を眺めて歩きまわりました。隣の真如堂の墓地へも行きました。知らない人から見れば怪しい老人です。ここの墓地はとにかく広く、静かで心休まるところです。

下手な写真を掲載しておきます。


『ヘンリ・ライクロフトの私記』より

 私は散歩のおりにはいつも道を折れていかにも田舎じみた教会墓地の中を通ることにしている。都会の墓地は不快なものだが、それとは逆にこの鄙びた墓所は魅惑的なものだ。墓石に刻まれた名前を読み、ここに静かに眠っている人々にとって、人生の辛酸も苦悩もすぎさったのだと考えると、深い慰めを感じる。私には少しの悲しみの情もわいてはこない。「某ココニ眠ル」という墓碑銘にまさる頌詞(しょうし)がほかにあるであろうか。死の威厳にまさる威厳はない。(中略)

 この樹蔭の静寂の中で、死者たちは、まだこの世に残るべく運命づけられている者に向かって次のような励ましの言葉をささやいているようにみえる。「我らのあるごとく、汝もかくなるべし。されば見よ、我らの静寂を」と。


※墓マイラーというらしい。

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