本屋さんにはない昔の作家の埋もれた作品や、気に入った言葉を集めたものを 手キン(アナログの印刷機)で印刷して小さな本を作っています。
2019年6月8日土曜日
次の本が出来るまで その132
道号
松永貞徳(号長頭丸、又明心居士)云う、相國寺の仁如和尚の御門弟に、俗男の儒学を志し、詩作を自慢せしものあり。入道して道号(どうごう)を和尚に申しければ、彼が心中を知ろしめしたりけん、ただ其方の思うように付かれよ、と宣いしに、東坡山谷*が片字をとりて、坡谷菴(はこくあん)と付きけり。人々きたなき菴号**かな、と笑うよしを聞きて、“菴”の字をのけて“斎”の字に付きたけれど、いよいよ呼称悪しくなりて人に笑われし、と由己法橋かたられ侍りし、大笑い、大笑い。
「仮名世説」
* 東坡山谷=蘇東坡、黄山谷、共に宋の詩人
** きたなき菴号=はこは糞のこと
※現代でいえば雲竹菴、雲竹斎ですかね。
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