2020年10月23日金曜日

ツルゲーネフ『老婆』

 『老婆』ツルゲーネフ


ツルゲーネフは、ドストエフスキー、トルストイと並んで、19世紀ロシア文学を代表する文豪といわれています。日本に登場したのは明治初期で二葉亭四迷によって翻訳・紹介されました。今回は晩年の詩文集『散文詩』より「対話」「乞食」「老婆」「だれの罪」「のろい」を掲載しました。前回の「宿命」とどちらを先に作るか迷ったのですが、こちらが後になりました。作品の世界は共に通じるものがあります。興味のある方のために「乞食」を載せておきます。




※表紙はジョルジョ・モランディ(Giorgio Morandi, 1890年 - 1964年)

自宅の居間か書斎(どちらもないけど)に飾りたい絵です。

2020年10月19日月曜日

次の本ができるまで その178

 上田秋成 秋の歌五首


晩年の秋成が嵯峨野の厭離庵で詠んだものです。



※歌と関係ないけど鍋焼きうどんが食べたい

2020年10月8日木曜日

次の本ができるまで その177

無題85


寺田寅彦の短文です。
芭蕉と歌麿がレストランで食事をする様子を描いたちょっと変わった作品です。


横組のテキストにすると雰囲気が損なわれるので、画像にしています。読みづらくてすみません。

2020年10月2日金曜日

次の本ができるまで その176

つくり直し(2)


前回に続いて2冊つくり直しました。


老人 ライネル・マリア・リルケ 森鴎外訳 2015年5月8日掲載
やりなおしたにもかかわらず物足りない出来です。表紙はスミ1色だとさみしいのでクレーの絵を貼り付けました。



てがみ・二十一のことば アントン・チェーホフ 2015年6月29日掲載
前回も2冊まとめて函にいれていましたが、ゆるくて傾けると滑って落ちてくるのが不満でした。本体は前につくったものを生かして版面を調整し、できるだけ小さくつくりなおしました。多少不細工ですが函にはきちんといい具合に収まりました。めでたしめでたし。

※一番気になるのは本の開き具合ですが、印刷の濃淡、字面の傾きなど言い出せばきりがありません。そんななか、このごろやっと紙を重ねて垂直に切れるようになりました。

2020年9月28日月曜日

次の本ができるまで その175

自殺倶楽部


露国には自殺倶楽部が出来ていると噂せられる。会員はいつでも自殺することを厭(いと)わぬという約束をしている。集会の時に虎と猟人と言う遊びがある。男女を一組にして籤引(くじびき)で虎と猟人とにする。室内を暗くする。虎になったものは衿(えり)に鈴を付ける。猟人になったものは拳銃を持つ。他の会員は危険のない処に避けて見物する。そこで虎が逃げまわる。鈴の音をあてに猟人が追いまわって射撃をする。六発打って中(あた)らなければ、虎と猟人とが入れかわる。一人死なねば止めぬのである。又シャンパンに二十本に一本の割でモルヒネを沢山入れて、会の席で飲む。先ずこんな風にして遊びながら自殺するというのである。

                             「椋鳥通信」より


※遊びにしては怖すぎる。よいこはまねをしないでね。

2020年9月22日火曜日

次の本ができるまで その174

 知者不言 言者不知


言う者は知らず 知る者は言わず。

よけいな、不確かなことを喋々するほど、見苦しきことなし。

いわんや毒舌をや。

何事も控え目にせよ、おくゆかしくせよ、むやみに遠慮せよとにはあらず。

一言も時としては千金の価値あり。

万巻の書もくだらぬことばかりならば糞紙に等し。


損得と善悪を混ずるなかれ。

軽薄と淡白を混ずるなかれ。

真率と浮跳とを混ずるなかれ。

温厚と怯懦とを混ずるなかれ。

磊落と粗暴とを混ずるなかれ。

機に臨み変に応じて、種々の性質を表わせ、一有って二なき者は、上資にあらず。

                           (夏目漱石『愚見数則』より)


※たぶんこれは掲載していないと思いますが、ダブっていたらゴメンナサイ。

2020年9月15日火曜日

次の本が出来るまで その173

つくり直し 




たまった紙の再利用を兼ね、以前の樹脂版を使っていくつかつくり直すことにしました。前と同じものを作っても面白くないので、気になる箇所を修正し、体裁を変えました。良くなったとも思えませんが、時間つぶしにはなりました。


 冬日の窓 永井荷風  2015年5月12日投稿 
仕上がりが気に入らないので、つくり直しましたが、まだ心残りがあります。 額に入ったミレー風の絵画のつもりですが、冬というより秋のかんじです。 


黒猫 餅饅頭 薄田泣菫  2015年5月15日投稿
紙が厚く本が開きにくいので、70kgの書籍用紙にしました。ずいぶん薄くなりました。 表紙は色がもうひとつです。


 『葡萄畑の葡萄作り』『榛のうつろの実』 ジュール・ルナール  2016年5月5日投稿
これはどれよりもつくり直したいものでした。本文の文字が大きすぎるのですが、 そのまま使っています。色違いの紙で表紙をつくり2冊をいっしょに箱に入れました。 背文字を入れなかったのが悔やまれます。

 
 

道理の前で フランツ・カフカ  2015年12月24日投稿 
マッチ箱にいれた小さな本ですが、紙が厚く本が開きにくいので、書籍用紙にして、函にいれました。

 ※でき上がると良くないところばかりが眼につき、すこし嫌いになります。

2020年8月28日金曜日

次の本ができるまで その172

社会のしくみ


政治家
政治家とは、私の利益のために国事を運営する人のこと。

法律
法律とは、大きなハエが通り抜け、小さなハエがつかまる蜘蛛の巣。

「まだ絶望ではない」と大きな声で言ってみるのはいいことである。もう一度「まだ絶望ではない」と。
  しかしそれが役にたつだろうか。 『マルテの手記』

2020年8月21日金曜日

次の本ができるまで その171

ジェームズ・マクニール・ホイッスラー


画家のホイッスラーが、こんな風に断言している──
「作品の制作のさいに使われたさまざまな手段の痕跡が、いっさい消滅したとき、その絵は完成したのだ。芸術にあっては、仕事に熱中することは美徳などというものではなく、欠くべからざる必要なのだ。制作のさいの何らかの痕跡がまだ残っているかぎり、それは努力の不足を立証するものにほかならない。ただ努力だけが、努力の痕跡を消しうるのである」。

「ノクターン:ソレント」1866

「灰色と黒のアレンジメント No.1」1871

※努力だけが、努力の痕跡を消しうるという言葉に惹かれて。

2020年8月16日日曜日

散文詩集「宿命」萩原朔太郎

散文詩集『宿命』 萩原朔太郎


今回は萩原朔太郎の散文詩集『宿命』より「宿酔の朝に」「田舎の時計」「貸家札」「神々の生活」「自殺の恐ろしさ」「戦場での幻想」の六篇を収録しました。

「散文詩」とは文字通り「散文」の形式をかりて表現された詩のことですが、規則的な詩法に基づいた「韻文」に対してその定義はあいまいです。詩的精神をもって書かれた短い文章、ということらしいです。

 

※扉の紙質がちょっと違うような気がしています。


※ホントどうでもいいことですが、前回の「指輪」の表紙が気に入らず、タイトル文字を縦書に修正しました。

2020年8月10日月曜日

次の本ができるまで その170

何となく



芥川龍之介の作品の出だしをいくつか並べてみました。


※誰か「邪宗門」の続きを書いてくれ。

2020年7月29日水曜日

次の本ができるまで その169

カミュの手帖より


新聞はもはや、ペストの話以外に語ることはなにもなくなってしまう。人びとはこういう。新聞にはなにも出ていない、と。

                  ⁂

ペスト。
私は心の準備をしようと努めている。だが毎日決まって昼間の、あるいは夜の一時間、人間が臆病になるときがあるものだ。私が怖いのはこの時間だ。

                   ⁂

ペスト。
だれもが我が身にペストを背負っている。というのは、だれも、この世のだれも、それを免れずにはいられぬからだ。また、たとえ一瞬の気晴らしのあいだも、他人の顔から息を吸ったり、他人に病毒を感染させたりしないよう絶えず自分を見張っていなくてはならない。自然の摂理は黴菌だけだ。あとは、健康にしろ、公正さにしろ、またお望みとあらば純粋さにしろ、すべては意志の結果なのだ。だから立派なひと、つまりだれにも病毒をうつさぬひととは、できるだけ気晴らしをしないひとのことだ。

※次はもっと明るい話をします。

2020年7月21日火曜日

次の本ができるまで その168

未来の刑罰



 かなり前に死刑が廃止されると、それに替わる刑罰として「地球追放罪」が作られた。これは重罪を犯した人間をまとめてロケットに乗せ宇宙に放り出すものである。廃棄寸前の宇宙船は無限の宇宙をどこまでも飛んで行く。使用期限は50年、もちろん地球に戻れる可能性はない。今日も種子島から20人余りを乗せ発射された。今のところ順調に飛んでいるらしい。(西暦5020年7月21日)

※思いつきのくだらないことを不定期に書きます。

2020年7月9日木曜日

次の本ができるまで その167

芭蕉歌集



芭蕉の短歌を集めて掲載します。


 題知らず
捨てぬ間に捨てらるる間の思い出を知らでや人の真(まこと)とは云ふ

 鄙歌 自得
思ふこと二つのけたる其あとは花の都も田舎なりけり

 骸骨讃
みな人の是れをまことの形ぞと知らば此身が直ぐに極楽

 題しらず
網雑魚(あみざこ)を升(ます)に量りて買ふ人は売る人よりも哀れなりけり

いのししの麦食ふことはさも無くて米食ひ荒す人の憎さよ

 無名庵の帰りに雪にあうて申しつかはしける 去来
かさすてて尻からぐべきかげもなしでつちもつれぬ雪の夕ぐれ
 かへし 芭蕉
笠さして尻もからげずふる雪に定家の卿もはだしなるべし

 羽紅が尼になりける時に申遺しぬ
九重の内には海のなきものを何とてあまの袖しぼるらむ

ふもとより梢にかかる藤の花腹一ぱいのながめなりけり

 俳諧歌
年の夜の更けゆくままに事繁き都の市の音静かなり

寄る年の目にはさやかに見えねども豆の音にぞ驚かれぬる

 田中一閑みまかりて後、谷中の新堀(にひほり)へ初めてまかり侍りて、
訪ふ人も今は夏野の草の原露ばかりこそ友と置くらめ

見れば且つ昔の夢の言草(ことぐさ)を思ひ知られて袖ぞ露けき

人の身の今の習ひを在りし世に知らで過ぎにし人ぞはかなき

 のり姫の君みまかりし後、程無く鈴木主水みまかりければ、
見し夢に夢を重ねて片糸の心細くも思ほゆるかな

見るままにあな現無(うつつな)やあだし野の露と消えゆく夢の世の中

 五月十八日、例の講習にて、かの処へまかり、亡き人を思ひ出でて、
通ひにし人は夏野の草の露その名ばかりは消え残りぬる

いつしかに昔の人と偲ばれて言の葉草に露かかるらん

遁れ住む美濃の小山(をやま)の哀れさを松のあらしに吹きも伝へよ

 落柿舎にて
山里にこはまた誰を呼子鳥ひとり住まんと思ひしものを

※これはこれで面白い。