2017年1月18日水曜日

次の本が出来るまで その44

江戸時代の金持ち


京都の長者番付に、能衆(よいしゅ)、分限者(ぶんげんしゃ)、銀持(かねもち)と三つの区別がある。俗に能衆というのは、代々家職もなく、世間に知られた茶の湯の道具を持ちつたえて、雪には茶の湯、花には歌学(かがく)と風流に明け暮れ、商売ということを知らない人たちをいうのであろう。また分限というのは、その土地で人も認め、商売はやめずに手代にまかせ、自分は万事に手出しをしない人のことをいうのである。銀持というのは近代の成金で、米でもうけたり、そのほか様々な商品を買置きし、また銀貨しなどもして、自分で帳面など調べる人のことをいう。これはたとえ一万貫目(約八十億円)持っていたとしても、能衆、分限者と付き合うことはできない。

(井原西鶴「諸艶大鑑」より)


私は能衆でも、分限でも、銀持でもないことをここに明言する。