2015年4月23日木曜日

『子規随筆』正岡子規



ご存知のように子規は俳句のほかに『墨汁一滴』『病床六尺』『仰臥漫録』など面白い随筆をたくさん書いています。今回はその中より『旅』、『犬』そして『墨汁一滴』より短文を掲載しました。『旅』は子規が地方へ出掛けた時に遊んだ廓の体験談を西鶴の文体に似せて書いたものです。『犬』は自らの境遇を奇想天外な想像力で解き明かします。いずれもゆたかな文才を感じさせる作品です。

2015年4月21日火曜日

道歌狂歌拾遺集 『盈満の咎』 えいまんのとが




盈満とは満ち溢れること。「盈満の咎」とは物事が頂点に達すればかえって禍いを招くという戒めの言葉です。道歌を集めたものを読んでから興味を持ち、あちこちから気に入った言葉を集めて作りました。お説教から皮肉まで市井に生きる心得が分かりやすく表現されています。


若いとて末を遥かに思ふなよ無常の風は時を嫌わじ

金銭はつかい捨てるも白痴者食はずに溜める人も馬鹿者

可愛くば二つ叱つて三つ褒めて五つ教へて善き人にせよ

涼しけりや涼しすぎると人の口戸はたてられぬ夏の夕暮

一生は旅の山路と思ふべし平地は少し峠沢山

2015年4月20日月曜日

『菊池寛』




文藝春秋社を興した菊池寛は実業家として成功した人ですが、小説家としても優れた作品をたくさん残しています。文庫本より他にあまり読む機会がありませんが、短編小説においては鋭い人間観察と道徳観が表現され長編小説よりもわたしは好きです。今回小本にするにつけ、どの作品にするかずい分迷いました。長さの制約もあり、結局「法律」「形」「震災の影響」の三作にしましたが、次に作ることがあれば「身投げ救助業」あたりを紹介したいと思っています。