本屋さんにはない昔の作家の埋もれた作品や、気に入った言葉を集めたものを 手キン(アナログの印刷機)で印刷して小さな本を作っています。
里見弴は、人情の機微を描く心理描写と会話の巧みさで、晩年まで長く活躍した作家です。川端康成が自著『新文章読本』で『椿』を短篇の名作として取り上げていました。内容はシンプルです。叔母と姪(30歳ぐらいと20歳)が布団を並べて寝ていた夜中、瓶に挿してあった椿の花が突然のポトッと落ちました。この音に驚いた二人の様子が描かれています。