2017年10月19日木曜日

三遊亭圓朝『士族の商法』

三遊亭圓朝『士族の商法』です。


圓朝は幕末から明治に活躍した落語家で三遊派の大名跡であり、また落語中興の祖として有名です。二葉亭四迷が『浮雲』を書く際に圓朝の落語口述筆記を参考にしたとされ、明治の言文一致運動にも大きな影響を及ぼしたともいわれています。(以上ウィキペディア)


さて『士族の商法』は、食えなくなった武家が汁粉屋を始めるというお話で、圓朝自身が実際に経験した事を噺にしています。時代は明治に変っても武士は武士、町人は町人でどちらがお客か分からないやりとりが絶妙です。


余談ですが明治になっていろいろな新しいお店が登場しましたが一番多かったのは汁粉屋、団子屋、炭焼き屋(焼き鳥屋?)に古道具屋だったそうです。




※口述を文章にすると読む気がしませんが、落語は話にリズムがあり耳で聞くように読めます。

2017年10月16日月曜日

次の本が出来るまで その74

芭蕉の逸話

八月十五夜の頃、田舎の粋人が集って月見の俳席を催しているいるところへたまたま行脚中の芭蕉が通りかかった。彼らは芭蕉を釈門の乞食坊主と見て、俳諧の一句も詠ませ今宵の座興に添えんと無理やり引き上げ、ぜひとも一句所望すると頻りに促した。芭蕉是非無く心を決し、先ず取敢えず


三日月の

と上の句を詠むと彼らは「今宵は満月なるに三日月とは如何に」と腹を抱えて笑うなか芭蕉は悠然と下の句を続けて


頃より待ちし今宵かな

と詠むと今まで大笑いしていた彼らが急に静かになり互いに顔を見合わせ居住まいを正したという。



※本当かどうかは知らない。