2022年8月26日金曜日

次の本が出来るまで その253

映画その他──『毒舌大辞典』より


西部劇

西部劇は大嫌いだ。あれは馬鹿げていると思う。いつも同じ馬が村の同じ通りを走っていて、酒場の同じドアがはねあけられて、同じカウボーイが同じ柱に寄りかかっているのだ。



芸術実験映画

いわゆる「芸術実験」映画館は、無意味なたわ言とわけのわからない話を専門に扱う乾物屋である。

シネ・クラブでの試写会後の討論に出た経験のない人は、人生において本当に愉快な思いをしたと言ってはならない。そこでは幻覚を起こさせる両性具有者たちと肩を並べることになるが、彼らはエイゼンシュテインのフィルム編集係の助手の名前について言い争い、『市民ケーン』の第一一四ショットがオーソン・ウェルズの許可なしにアフレコされたことを知っており、ジョン・フォードについてジョン・フォード自身が思ってもみなかったことを知っているのである。



フランス映画

フランスの映画は、陰気でしみったれた姦通の話や、きわめて家庭的で小心なドラマを物語る。人々は小市民国のポタージュスープの中でざわめいている。私が嫌いなのはシネマ・ヴェリテや、ささいな現実の事件、日常生活のありふれた会話、フライドポテトの匂い、「愛している」「さよなら」「そこの塩をとって」「ジェラニウムに水をやって」といった台詞、ピルや社会保障、それにほんのちょっとしたセックスの失敗にも補償金を出したりすることだ。こうしたことはみんな、正当で結構なことだが、実際あまりにも生ぬるく、偽善的である。


美的側面を排除してドキュメンタリー風に作った映画


                 ♠︎


怠惰

怠惰な人間とは仕事をしているふりをしない人間である。


                 ♠︎



謙遜

謙遜であるという点では私は誰にも負けない。


                 ♠︎



人間

人間においては、蝶が毛虫になるのだ。


※皮肉が効いている。