微笑
「フフン」と少し鼻にかかった甘い声で君が笑う。
ボクはその声がとても好きだ。
その笑い声が聞きたくて
ボクはバカな話を際限なく続けている。
ウソをホントに、ホントをウソに
あることないこと、おもしろおかしく
テーブルの上の料理もとうに冷めてしまった。
君はそのたびに小さな笑い声を聞かせてくれる。
ボクが話し疲れ、ひと息ついたとき、君が言った。
「おしゃべりな男って大キライ!!」
変装
M君は友達がいない。
趣味は「変装」。
毎日、何時間も鏡の前に座って、いろいろな人物に変装する。
老人、サラリーマン、労働者、ヤクザ、ときには女性にもなる。
満足すると、その格好で繁華街へ出かける。
デパートの前で人待ち顔で立ってみたり、
肩が触れ合う雑踏の中をあてもなく歩いたりする。
「だれもボクが変装していることに気付いていない」
これが快感だと言う。
M君は友達がいない。
※そろそろ飽きてきました。