2020年11月26日木曜日

次の本ができるまで その182

 画中画


絵画の展示会(即売会?)を描いた作品でしょうか。見たことのある貴重な絵画が室内を埋め尽くしています。いやーすごいなあ、そっくりに描けるんだなあ、といかにも素人らしい感想しか言えないのが悲しいです。聞きかじりですが、著名な画家の目録に作品名が記載されているにもかかわらず所在不明の作品が、画中画に描かれていたという話を聞いたことがあります。真偽のほどは定かではありませんが。

ヨーハン・ゾファニー The Tribuna of the Uffizi c.1777


ダフィット・テニールス(子) Archduke Leopold William in his Gallery at Brussels c.1650


ヴィレム・ファン・ハーヒト Apelles Painting Campaspe c.1630


※それにしても気が遠くなるような仕事ですね。

2020年11月22日日曜日

次の本ができるまで その181

着物姿


昔の本にでてくる女性はたいてい着物を着ています。
たとえばこんな感じです。(出典は忘れましたが、たぶん泉鏡花だと思います)


黒塗の艶(つや)やかな、吾妻下駄(あずまげた)を軽(かる)く留めて、すらりと撫肩(なでがた)に、葉に綿入れた一枚小袖、帯に背負揚(しょいあげ)の紅(くれない)は繻珍(しゅちん)を彩る花ならん、しゃんと心なしのお太鼓結び。雪の襟脚(えりあし)、銀の平打(ひらうち)の簪(かんざし)に透彫(すかしぼり)の紋所、後毛(おくれげ)もない結立ての島田髷(しまだまげ)、背高く見ゆる衣紋(えもん)つき、備わった品の可(よ)さ。(後略)
など、たぶん美しい女性であることは想像できますが、着物の知識がないわたしは、その容姿を具体的にイメージできません。残念です。


同じ鏡花の作品に「当世女装一班(とうせじょそういっぱん)」というのがあります。
女性が身につける衣装をひとつずつ解説したものです。
モデルは西鶴の「一代女」にでてくる理想の美人です。


「年は十五より十八まで、當世顏は少し丸く、色は薄花桜(うすはなざくら)にして、面道具(おもてどうぐ)の四つ、不足なく揃ひて、目は細きを好まず、眉厚く、鼻の間狭(せは)しからず次第高(しだいだか)に、口小さく、歯並(はならび)あらあらとして皓(しろ)く、耳長みあつて緣淺く、身を離れて根まで見え透き、額はわざとならず自然の生えどまり、首筋立ち伸びて、後れ毛なしの後髪(うしろがみ)、手の指はたよわく長みあつて爪薄く、足は八文三分に定(さだ)め、親指反(そ)つて裏透きて、胴間(どうのあいだ)常の人より長く、腰しまりて肉置(ししおき)逞ましからず、尻付豊やかに、物腰、衣裳つきよく、姿に位(くらい)備(そな)はり、心立(こころだて)おとなしく、女に定まりし藝優れて萬に昧(くら)からず、身に黒子(ほくろ)一つも無きを望み……」


この女性が入浴後身につける衣服を順番に解説しています。興味のある方は探してお読み下さい。


※八文三分はいまの20cm、かなり小さいですね