2015年7月17日金曜日

次の本が出来るまで その9

今回は出来なかった本の話ではなく作品を紹介したいと思います。
5点の写真は抽象画のように見えますがそうではありません。これは襤褸(ぼろ)です。写真からは想像もできませんが、元は新品の布団だったり、一枚の着物だったのでしょうか。それが時代を経て、修繕に修繕を重ねた結果このようなものになりました。
これを見て私はやや感傷的に、かじかんだ手を囲炉裏の火で温めながら針仕事をする女性の姿を思い出しました。これらを繕ったのは、家族が寝静まった夜ふけ、鉄瓶から吹き上がる湯気の音だけが聞こえる冬の寒い晩に違いないと……。ああ、どこからか「母さんの唄」が聞こえてきます。



※襤褸の美しさを教えて頂いた額田晃作さまに心より敬意を表します。

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