2018年6月8日金曜日

『芭蕉終焉記 花屋日記抄』並『枯野抄』

『芭蕉終焉記 花屋日記抄』『枯野抄』


『芭蕉終焉記 花屋日記』は、大阪の花屋仁左衛門の裏屋敷で最期を迎えた芭蕉の様子を、臨終に立ち会った弟子たちの記録をもとに、文曉という僧がまとめ再構成したものです。記録にかたよった弟子たちの文章に比べて「花屋日記」は登場人物の戸惑いや諍い、そして衰えていく芭蕉の姿がリアルに描かれています。
正岡子規がこれを読んで感動の涙をこぼした話は有名です。


この『花屋日記』に描かれた臨終の場面を一幕物の舞台のように仕上げたのが芥川龍之介の小説「枯野抄」です。詳しい解説は省きますが、花屋の離れに集まった弟子たちの心の内を芥川独自の描写であきらかにしていきます。わたしは「聖」と「俗」、「悲」と「喜」が交錯するその場に同席しているような気持になりました。


「屬纊(しょくこう)につく」。

作りながらこの言葉が頭をよぎるのは何度も読みすぎたからかも知れません。



※出来上がった時には思いきり言い訳や泣き言を書こうと思っていましたが、今はどうでもよくなりました。

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