芭蕉の逸話
八月十五夜の頃、田舎の粋人が集って月見の俳席を催しているいるところへたまたま行脚中の芭蕉が通りかかった。彼らは芭蕉を釈門の乞食坊主と見て、俳諧の一句も詠ませ今宵の座興に添えんと無理やり引き上げ、ぜひとも一句所望すると頻りに促した。芭蕉是非無く心を決し、先ず取敢えず
三日月の
と上の句を詠むと彼らは「今宵は満月なるに三日月とは如何に」と腹を抱えて笑うなか芭蕉は悠然と下の句を続けて
頃より待ちし今宵かな
と詠むと今まで大笑いしていた彼らが急に静かになり互いに顔を見合わせ居住まいを正したという。
※本当かどうかは知らない。
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